法律を知らざれば派遣で働くべからず

「法律を知らざれば派遣で働くべからず」と言ってしまうと、ちょっと大げさですが、普通に正社員として働く場合はあまり法律を気にする必要はありませんが、人材派遣で働く場合は、労働者派遣法によってさまざまな制約が設けられています。また、労働基準法も複雑に絡んできます。これらの法律を知らないと、思わぬトラブルにみまわれることがありま。詳しく知る必要はありませんが基本的なことjは押さえておきましょう。

 

労働条件通知書兼就業条件明示書

会社が人材を雇用する場合、正社員であろうが派遣社員であろうが最初に「労働条件通知書」を交付する義務があります。そこには以下の内容が記入されなければなりません:
・契約期間
・就業場所
・業務内容
・始業・終業時刻、休憩、休日、休暇
・残業の有無
・就業時転換
・賃金
・退職について
これは派遣会社が派遣スタッフと雇用契約を結ぶ場合、必ず網羅しなければならない内容です。正社員の場合と違って、派遣の場合はこれらの書面をきっちり確認しないと、後々トラブルが発生したときなど、相手の言うことをそのままのまざるをえなくなります。派遣で働く場合、とても重要な書面です。

二重派遣は違法

これは派遣で働く場合、必ず覚えていただきたい法律です。二重派遣とは、派遣元と雇用関係のある派遣労働者を受け入れた企業が、自社の業務に就かせることなく、さらに別の企業へ派遣労働者を労働力として派遣する行為です。具体的には、次のような行為が二重派遣となります:
・A社から派遣労働者を受け入れたB社が、その派遣労働者を再度C社に派遣し、C社から派遣手数料を得る行為。
・IT業界などで自社の技術者を現場に常駐させ、発注企業が直接指揮命令を行う行為。
あなたが二重派遣として職業安定法第44条に違反した場合、1年以下の懲役又は20万円以下の罰金が適用されます。(職業安定法第64条)。このように罰せられるのは労働者を二重に派遣した派遣先企業だけではなく、その労働者を受け入れた二重派遣先の企業も罰せられます。

派遣労働者に対する雇用契約の申込み義務について

2015年9月30日に新たに施行された労働者派遣法の改正により、派遣労働者の派遣先の社員化推進と雇用安定措置のために、派遣先は一定の派遣労働者に社員募集情報を提供する義務が定められました。 ちょっとお役所的文章で分かりずらいかと思いますが、要するに、受け入れき期間を過ぎて派遣労働者を雇用したい場合や派遣受け入れ期間の制限がない場合には3年以上雇用したい場合、派遣労働者に対して雇用契約の申し込みをしなければならない、というものです。

 

わかりやすく言うと、派遣社員を長く雇用したい場合は雇用側は雇用契約の申し込みをしろ、というものです。いろいろ条件がありますから派遣元に確認しておいてください。

 

改正労働者派遣法条文>>>

 

労働時間

基本的な労働時間は法律で決められています。
労働基準法:労働時間の限度を、原則として週40時間以内、かつ、1日8時間以内とし、休日を1週に1日以上与えることとしています(労働基準法第32、35条)。この労働時間・休日のことを「法定労働時間」・「法定休日」と呼びます。法定労働時間の原則は、どの日も8時間以内、どの週も40時間以内ですが、この原則を法定の条件内で変更できる制度に変形労働時間制があります。

 

労働基準法第36条:法定労働時間を超えてさせる時間外労働、法定休日にさせる休日労働は、事業場の過半数で組織する労働組合があるときはその労働組合、ない場合には労働者の過半数の代表者と労使協定書(「36協定」)を締結し、届け出なければなりません。

 

派遣で働く場合、基本的には残業はありませんが、もしあるとすれば、どのような基準で残業させられるのか確認しましょう。

偽装請負は違法

「偽装請負」とは書類上、形式的には請負(委託)契約ですが、実態としては労働者派遣であるものを言います。そして、これは違法です。
ちょっとわかりずらいですが、請負と労働者派遣の違いをはっきりさせましょう。まず、請負とは「労働の結果としての仕事の完成を目的とするもの(民法)」ですが、派遣との違いは、発注者と受託者の労働者との間に指揮命令関係が生じない。

 

法律用語で解りづらいと思いますが、働く側から見て自分の使用者からではなく、発注者から直接、業務の指示や命令をされるといった場合「偽装請負」である可能性が高いと言えるでしょう。
そして、「偽装請負」は労働者派遣法等に定められた派遣元(受託者)・派遣先(発注者)の様々な責任が曖昧になり、労働者の雇用や安全衛生面など基本的な労働条件が十分に確保されないという事が起こりがちです。 そのために法律で禁止されています。

 

ちょっとおかしいな、と感じられたらきちんと派遣元に確認しましょう。

派遣切りは違法

もうだいぶ前になりますが、「派遣切り」という言葉がマスコミを賑わせたことがありました。「派遣切り」とはある日突然派遣社員の雇用を打ち切ることです。派遣期間中の契約解除は、本来「やむを得ない事由」がある場合にのみ認められる行為、と法律で定められています。もしその事由に客観的合理性や正当性がないと判断された場合は、その契約解除が違法なものとみなされる可能性があります。労働契約法には罰則はありませんが、民法の特別法として位置づけられており、会社側は訴訟等による損害賠償など大きなリスクを抱えることになります

解雇が成立るするのは?

会社側からの一方的な解雇通告は正社員であっても派遣社員であっても違法です。会社が社員を解雇できるのは第三者から見て理にかなったていると思われる理由があり、世間の常識から考えても適当と考えられる事情ある必要があります。そうでない場合はいくら会社が解雇するといってもそれは基本的には無効です。最終的には裁判所が決めることですが、判断の基準は就業規則です。会社が最終的に解雇できるとなった場合、30日前に解雇通告をして、30日分の賃金を払う必要があります。

まとめ

以上、派遣で働く場合に絡んでくる法律等を列挙しましたが、法律用語をそのまま書いた部分が多くわかりずらかったと思います。派遣で働く場合はこれらのことが絡んでくることを記憶のどこかに置いておいて、徐々に知識を増やされて確認してほしいと思います。